生きるってどういうこと?
死ぬってなに?
・・・あなたは的確な説明ができるでしょうか?
私にはできませんでした。
この絵本に出会い、【葉っぱのフレディ】と一緒に【葉っぱのダニエル】から教えてもらったことは
『死ぬというのは変わることのひとつ』だということ。
【葉っぱのフレディ】は、そんな問いを持ち続けているすべての方におすすめの絵本です。
【葉っぱのフレディ】の作者は哲学者
【葉っぱのフレディ】は、アメリカの哲学的教育学者であるレオ・バスカーリアが1982年に発表した絵本です。
冒頭にある筆者からのメッセージには
死について的確な説明ができない大人たち
死と無縁のように青春を謳歌している若者たち
へ贈ります。
と記されています。
彼が書いた絵本は生涯でこの1冊だけ。
ということは、これは彼の哲学の中でいちばん伝えたかった事なのではないでしょうか。
サブタイトルは『いのちの旅』
大人になっても説明することの難しい【生と死】について。
いのちのあり方について。
この物語のもうひとりの主役は、フレディの親友である【ダニエル】
ダニエルは実は筆者だと、みぃは感じています。
【葉っぱのフレディ】のあらすじ
これは、大きな木に生まれた葉っぱ【フレディ】の物語です。
春に生まれたフレディは、一緒に生まれた葉っぱたちと楽しく過ごしていました。
風に吹かれて踊ったり、日光浴を楽しんだり、人間のために涼しい木かげを作ってあげたり。
そして、親友のダニエルからいろいろなことを教えてもらいます。
自分たちが木の葉っぱであること、おはようって言いに来るのは鳥であること、めぐる季節のことなどなど。
やがて秋になり、緑色の葉っぱたちはそれぞれ違う色へと紅葉していきます。
そして冬になり、枯葉に近付きながら死が近付いていることを感じます。
『死ぬってどういうこと?』
『ぼくは生まれてきてよかったの?』
ダニエルは、フレディに【いのち】について語ります。
『いつかは死ぬさ。でも”いのち”は永遠に生きているのだよ。』
葉っぱたちはどんどんいなくなり、フレディは最後の葉っぱとなります。
そしてついに、風に乗って雪の降り積もる大地へと降り、いのちの循環を感じながら深いねむりにつくのでした。
フレディの親友・ダニエルの言葉が深い
ダニエルはフレディの親友です。
誰よりも大きくて物知りで、葉っぱたちのリーダー的存在です。
フレディが不思議に思うことに対して、的確に答えてくれるダニエル。
その言葉ひとつひとつには説得力があり、心の奥に響きます。
産まれたときは同じでも、いる場所が違えばなにひとつ同じ経験はないんだ。
秋になり紅葉していく中で、葉っぱたちはそれぞれに黄色や赤、紫色へと変化していきます。
同じ木の同じ枝で一緒に生まれて同じ緑色だった友だちが、どうして違う色になるのか不思議に感じたフレディ。
その疑問に対しての、ダニエルの答えです。
同じ枝にいても、太陽に向く角度・風の通り具合・月の光や星明かりなど、すべてが違うのだと答えています。
人間もみんな同じようにママから生まれてくるけれど、それぞれの家庭・幼稚園・学校・仕事先で違う経験をします。
そしてそれぞれの生活をしながら、それぞれに違ったオトナになっていきます。
それはまぎれもないこと。
『みんなちがって、みんないい』のです。
まだ経験したことがないことは、こわいと思うものだ
冬になり、友だちがどんどんいなくなっていくのを悲しみ、『死ぬのがこわい』と言うフレディへの返答です。
このひと言は【死】と離れた視点で考えることもできると思いました。
新しい学校や転職・引っ越しでも、告白するときや結婚を決めるときも、初めて経験するときはみんなちょっとこわいですよね。
こわいと思いながらその一歩を踏み出せるかどうか。
人生は、そんな経験のくり返しです。
世界は変化し続けているんだ。変化しないものはひとつもないんだよ。
『死ぬのがこわい』というフレディへ、ダニエルは続けて答えます。
春から夏になり、秋が来て冬になる。
春から夏になるときに『こわい』と思っただろうか?
葉っぱは緑から紅葉して散る。
紅葉するときに『こわい』って感じただろうか?
【死ぬ】ということは変わることのひとつなのだ、と。
『変化するのは自然なこと』と聞いて、フレディはちょっと安心できます。
でもこれ、【死】を控えている人に対して私は言えるだろうか・・・
それでも、【死】をこわがっている人にこう言ってあげたら
フレディみたいに安心してくれるのかしら・・・?
正直私は、これを考えると胸がキューっとなって目頭が熱くなります。。。
ぼくは生まれてきてよかったのだろうか
これはフレディの問いです。
死ぬことは変化することって聞いて安心したけれど
『じゃあ、なんのために生まれてきたの?』
っていう疑問が浮かんできたのです。
ダニエルの答えは
ぼくらは春から冬までの間
ほんとうによく働いたし、よく遊んだね。
まわりには月や太陽や星がいた。
雨や風もいた。
人間に木かげを作ったり、
秋には鮮やかに紅葉して
みんなを楽しませたりもしたよね。
それは、どんなに楽しかったことだろう。
それはどんなにしあわせだったことだろう。
人生に行き詰まったり方向性を見失っているときって
『なんのために生きているんだろう』
って、自分自身に問いかけることありますよね。
でも、ムダなことなんてなにひとつないのです。
あなたの存在そのものに価値がある。
ダニエルは、そんな風に教えてくれているのだと思います。
いのちは永遠に生きているのだ
たくさんのことを教えてくれたダニエルも散っていき、ひとりになったフレディも自分に限界を感じて枝を離れます。
そして雪のつもった地面に降りたときに、生まれて初めて木の全体をながめます。
その大きくてたくましい姿を見たときに
『これならいつまでも生きつづけるにちがいない』
と感じながら、深いねむりに入るのでした。
フレディが、ダニエルからたくさん教えてもらった中で最期に心に染みる言葉。
【いのちは永遠に生きている】
これが、筆者がこの絵本のなかでいちばん伝えたかったことだと、みぃは思います。
フレディが降りた雪は春がきたら溶けて水になり、枯葉のフレディはその水に溶け込んで、木を育てる力となっていきます。
自然の流れは永遠であり、人間も自然の一部なのです。
そう考えると、自分の身体がなくなっても【いのち】は永遠だということが、ストンと腑に落ちるのではないでしょうか?
変化しないものはなにひとつない
死もまた変わることのひとつである。
大きな自然界にはちゃんと設計図があって
【いのち】は目に見えないところで常に準備されているのです。
生きていると、心が不安や恐怖に囲まれて身動きできなくなることもありますよね。
そんな時にこの絵本は『だいじょうぶだよ』って語りかけてくれます。
【編集者からのメッセージ】は
子どもの心をもった大人たちに贈ります。
子どもへの読み聞かせにも
あなた自身の心の整理のためにも
おすすめの一冊です。
こちらも『大切なこと』を教えてくれるステキな本です♥↓↓↓
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